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バッティング練習の矛盾
矛盾とは
息子さんがバッティング練習の時に、指導者から『もっと腰を回して』と言われたとします。そして、他の指導者からはティーバッティングの練習で『もっと壁を作って振れ』と言われました。
息子が『お父さんAコーチからは腰を回せと言われ、Bコーチは壁を作れと言われた。どちらを聞けばいいのかわからない』と言ってきたらあなたなら何と答えるでしょうか?
このような経験をした子供は多いのではないでしょうか。こんな時にしっかり説明出来ることが出来れば、子供ももっとバッティング練習での意識が変わり上達していくのではないでしょうか。
今回は私が色々と調べて勉強した内容を紹介します。
バッティングの矛盾を解決する方法
野球にはバッティング理論がたくさんあります。
『打つ時は回転を意識する』という指導法をされます。体を回転させて遠心力で打つ。そうすれば強い打球が打て飛距離も出るといった理論です。しかし回転を意識し過ぎることで、フリーバッティングや試合ではピッチャーの球にタイミングが合わず上手く回転を合わせることができず、打てない事があります。
また、連続ティーバッティング(連ティー)の練習ではどうでしょう。体を回転させて打つといった指導ではなく、壁を意識するよう指導されます。体を回転させずに壁を作るイメージで打つように意識すればしっかりと球を捉えて打つことが出来ます。
どちらもバッティング理論としては正論ですが、二つ同時に聞くと矛盾しているように聞こえます。どちらも間違いではありませんが矛盾しています。
この場合、意識の持ち方を間違えればバッティング技術が間違った方向に向かいます。ではどうすれば良いのか。このような場合はバッティングを2つに分けて考える事で矛盾を解決することが出来ます。
バッティング力
バッティング力を鍛えるために2つの練習があると考えてみます。
- スイング力
- インパクト力
『腰を回して体を回転させて打ちなさい』といった指導はスイング力を高めるため遠心力を使うことを目的としています。
また、連ティーなどの練習では壁を意識することでインパクト力を高めることを目的としています。
バットを効率的に使う力をスイング力、ピッチャーが投げてくるボールを強く捉える力をインパクト力と考え、どちらもバッティング力を高めるためには必要不可欠な力となりますので目的を意識して練習していきましょう。
では、このスイング力とインパクト力とはどういった力なのか紹介します。
スイング力
スイング力とは、バットを上手に扱える力のことです。バッティングの時にバットがどのような運動をするのかの理解が大切で、それをイメージすることで素振りも効果的に行えます。
バットを上手に扱うことが出来るためには3つのキーワードがあります。
- 回転力
- 土台力
- 連動力
回転力
回転力とはバットをスムーズに回転させる力のことです。回転力を上げるためにはグリップの一番上を片手や両手でで持ち、ヘッドとグリップエンドを入れ替えるように回転させます。
回転させる方向は上下・左右・前後と方向を変え、入れ替えるように回転させましょう。
この時にバットのヘッドの重みを利用してスムーズに入れ替えることが出来ればバットの遠心力を利用していることになり、上手く利用出来れば回転によりヘッドスピードが上がります。
土台力
バットのヘッドスピードを上げるためには上半身と下半身を繋ぐ体の軸となる土台が必要です。
体の軸となる土台はどこか?それは胸郭です。胸郭とは簡単に言えば肋骨辺りの場所のことで、上下に分かれていてそれぞれ違う動きをします。
まずは胸郭の下の部分から下半身と考えて、下半身をどっしりと使う感覚を身につけてます。胸郭の下部には横隔膜が内側にあるため、呼吸を上手く使い胸郭の下部を安定させます。
まずは大きく呼吸をして横隔膜を広げます。そして横隔膜を広げたまま息を吐くことで胸郭の下部を安定させることが出来ます。
胸郭の下部を安定させた状態で、上部をツイストさせます。この上下をツイストさせることで体の中心が決まり、全身で体の軸が通る感覚がわかります。
この時、膝が左右に開いたり閉じたりしないよう腰・膝・足首の関節を固定します。
連動力
連動力は下半身と上半身を連動させてスイングする力のことです。スイングでは下半身は大切です。しかしどう使うかを理解していなければいけません。
下半身からのパワーを上半身に伝えるには起立筋と股関節が重要です。
起立筋とは腰椎の左右にある大きな筋肉のことで、この起立筋にスイッチを入れてあげます。
スイッチの入れ方ですが、簡単に説明すると腰を沿った時に起立筋に刺激が入り、スイッチが入ります。
次に股関節を固定させた状態で、スイングしてみましょう。この時、なるべく踏み出す方向に体重移動しないようにスイングします。そうすることでより下半身と上半身が連動している感覚を掴めます。
この連動には順番があり、バットの回転→胸郭ツイスト→股関節→足とつながってきます。
バットの回転→体が回転というイメージでスイングする、このイメージで体の使い方を覚えていきましょう。これでスイング力は上がっていきます。
逆に体の回転→バットの回転でスイングすると、いわゆる体が開いて打っているスイングとなります。意識を変えて体の使い方を覚えましょう。
インパクト力
インパクト力とはピッチャーが投げてくる球を強く捉える力のことです。スイング力があっても球を捉えることが出来なければ打つことが出来ません。タイミングを上手くとることやボールとバットがぶつかる衝撃に負けない体を作ることも大事なことです。
練習ではいいスイングをするのに実戦ではなかなかいい結果が出ない子供はこのインパクト力を養う必要があります。
インパクト力を高めるためには3つのキーワードがあります。
- 合わせ力
- 捉え力
- 伸筋力
合わせ力
合わせ力とはピッチャーが投げてくる球に対してタイミングよくバットを合わせる力のことです。どうすれば高めることが出来るか、それはまずは自分のインパクトポイントを知ることです。
自分のスイングで一番ボールを捉えやすい場所を見つけましょう。打つべき場所が見つかれば自分のスイングでタイミングを取ることが出来るようになっていきます。
なかなかインパクトポイントが見つからないという方は、まずはゆっくりスイングしながらバットを1/4回転させたところで打ってみてください。バットを転がすイメージがわかりやすいかもしれません。
捉え力
インパクトの瞬間に体の力を伝える力のことです。土台力で作った軸を使って体の力をインパクトでボールに伝える必要があります。
ここで重要な体の場所は胸郭です。胸郭に上手くツイストさせることが出来ればインパクトで力強いスイングが出来ます。
胸郭のツイストを確認する方法ですが、バントやバスターの構えが最適です。
まずはバントの構えをしてみてください。この時下半身はバッティングの姿勢と同じにします。そして上半身は肩と胸だけをピッチャー方向に向けます。この時、腰はピッチャー方向に向けません。
胸郭(胸とお腹)の辺りで捻れを感じませんでしょうか?これが胸郭のツイスト状態です。
胸郭のツイストを感じたらそのままバスターでスイングしてみましょう。スイングする時はバントの構えの時と同じように下半身は固定したままにしておきます。股関節や膝は固定したままです。このスイングの感覚を覚えることで体の軸で捻りを作り、インパクトの瞬間に最大限の力を伝えることが可能となります。
伸筋力
筋肉には関節を曲げる「屈筋」と関節を伸ばす「伸筋」があります。バッティングではこの伸筋を意識することで球に負けない強いインパクト力が身につきます。
伸筋力を使うには意識が重要となります。スイングする時に、全身の関節を伸ばす意識を持ち、フォロースルーを大きくとります。この時にキャッチャー側の腕はバットから手を離し、手の平を開いた状態で前方へ伸ばし最終的には上に向けましょう。
イメージとしては全身を使って気持ち良くボールを打つ感覚です。
インパクトの瞬間、ボールに力が伝わっている感覚を養いましょう。
まとめ
バッティング力
=スイング力×インパクト力
スイング力=回転力+土台力+連動力
インパクト力=合わせ力+捉え力+伸筋力
まずは、子供のスイングは置いといてこの6個の力を上げていきましょう。それぞれ意識した上で、子供のバッティングに取り入れてみることでバッティング力が上がります。小学生の場合、特にバッティングフォームがすぐに変わりますので、もし悪い方向に変わった場合、この6個に分けた箇所を確認して良いフォームに戻してあげれますので参考にしてみてください。